すでに賃貸住宅経営をされており、当社開催のオーナーセミナーなどにも意欲的にご参加いただいてきたオーナーT様。一度中古の収益物件をご提案し成約となったことから、経営規模を大きくしたいという意向をお持ちであることが分かりました。そこで最適な売地の案件が出たタイミングで新築の提案をおすすめしてみることにしました。
賃貸経営の傍ら農業を営まれていたT様。この案件の売り物件は大規模住宅団地の端にある約480坪の農地でした。農地の取得が比較的容易だったこともあり、うち法令制限上の開発にかかわらない規模である300坪分を使い、まず戸建タイプの賃貸住宅6世帯を新築することにしました。残りの180坪については、後日、転売にあてて用地取得費用の回収を行うこととしました。このような企画策定をもってオーナー様への提案を行いました。
T様は比較的資金状態は良好に推移していましたが、今回の案件では全額融資による展開を希望していたため、審査を通過できる見込みのある金融機関が限られていました。また用地に接道していた歩道が道路として認められなかったことから接道状況に制限があったのも問題でした。立地条件的には、県道沿いで小学校に比較的近いという以外には周辺に商業施設や公共交通機関が乏しいというのは生活の利便性からの不安要素でした。これらの問題点をクリアするためには複数の付加価値をつけてマイナスをプラスに転じなければなりません。このままだと長期にわたる賃貸経営において、あとあと入居者の募集が困難になるのは明らかでした。
まず資金面については、ほかに所有物件の運用実績が複数あることから、当社スタッフが元金融機関勤務であったことから、そのツテで生保会社からの全額融資引き受けを取り付けることができました。まず第一関門突破です。これを受けて土地調査など契約に向け具体的に動く中で、実測面積が図面より広かったことで売却額がアップしたのは幸いでした。接道制限の関係は建築に工夫を加えるなど1つ1つの課題を地道にクリアして成約に結びつけました。
建築予定物件への付加価値の面が最後の難関でした。これは小学校に近いことからファミリーをターゲットとした2階建てとし、ペット同居型の造作や屋根付き駐車場を導入することにしました。担当スタッフは自社賃貸仲介店舗のスタッフと綿密な打ち合わせを重ねながら、様々な工夫を実現しました。こうして、顧客ニーズの高い、地域でも稀少性のある物件づくりが可能となりました。